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コラム

2022.04.22 「将来の可能な限り最高の自分」-『ビッグ・ポテンシャル』⑦


 本書によると「ポジティブな未来を鮮明に思い浮かべると、楽観的な見方も増え、うつ症状が軽減される」らしい。ビッグ・ポテンシャルの締め括りのコラムとして「将来の可能な限り最高の自分」を思い描いてみようと思う。

 

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 心が落ち着くジャズピアノのBGMをかけながら、フワフワの椅子にゆったりと腰掛け、眼を閉じて思索にふける。傍から見たら仕事をサボっている様に見えるかもしれないが、物語の構成を練っている所である。

 

 新人賞を受賞してから、私は小説家になった。うつ病や双極性障害で苦しむ人達に勇気を与えられる書き手を目指して鍛錬する日々を送っている。世に出した作品は病気に関連することが多い。あの頃、無駄に思えた時間は今の仕事に活きている。

 

 あれから寛解と再発を数回繰り返し、その間に絶望を味わったこと数知れない。けれど、その度に家族や職場の仲間に励まされたり、書籍の内容に奮い起こされたりして乗り越えてきた。最後の寛解から数年経つが、今のところ再発の気配はなく、体調は安定している。淀みなく清々しい気分で過ごせる日々には感謝しかない。

 

 精神面でもポジティブになれた。人に会えば褒め言葉が思い浮かぶし、自身の良い面にも気付けるようになった。昔感じていた閉塞感と無気力による苦しみをバネにして“今”を掴んだのだ。意欲もアイディアも溢れてきて、生きることに沢山の意味を見出せるようになった。

著:田埜マサキ

 

 

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